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平成8年度 No.4 1996年11月1日 (財)資産評価システム研究センター(通巻95号)

 

毎年評価の夢

(財)資産評価システム研究センター 理事 野上敏行

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平成9年は、3年ごとに到来する基準年度の年である。自治省は、去る10月14日、中央固定資産評価審議会の了承を得て、指定市町村の基準地価格を正式決定した。基準地価格が前基準年度より上昇したのは上昇率7.3%の山口市だけで、最高の下落率は大阪市の63.4%、全国単純平均の下落率は39.8%とされている。しかも、価格調査基準日とされる平成8年1月1日以後6月間の下落率は、16.7%の千葉市を最高に、2桁の下落率を示している都市は16市にも上り、未だに下落傾向が続いていることを示している。平成9年度においても、平成6年度と同様に、審査申し出等が続出するのだろうか。
「地価が下がっているのに、固定資産税の負担が逆に重くなるのは何故か」といった素朴な疑問が生じるのも、3年に1回の評価替えやその評価替えを行った年度等の税負担を軽減しようとする負担調整措置にあると思われる。地価が右肩上がりの状況にある場合には、3年に1回の評価替えであっても、納税者の理解を得ることは容易であろう。他方、右肩下がりの状況のもとでは、3年に1回の評価替え、すなわち、基準年度の評価領をその後の3年度間の課税標準とするいわゆる価格措置制度について、納税者の理解を得るには、相当の困難を伴うと思われる。
地価は右肩上がりであって、右肩下がりになることはあり得ないと考えられていた土地神話が崩れ、評価替えである基準年度を跨いで地価が下落することが現実となった以上、土地の評価替えについては、これを毎年行い、価格の据置制度を廃止する、あるいは据置期間を1年短縮して2年とし、土地及び家屋についての評価年度を異にするといった仕組み、また、価格調査基準日については、賦課期日と同一の日とする、あるいは賦課期日以外の日でその賦課期日にできるだけ近い日とし、その日後の地価の変動は地価公示価格等の地価変動の状況によってその価格調査基準日現在の地価を修正するといった仕組み等について、幅広い検討を行う時期に来ているのではなかろうか。そして、その検討の結果によって、現行の3年に1回の評価替えの仕組みを見直すべきではなかろうか。もちろん、価格の据置制度等を改めることに関連して、種々の問題についてその解決を迫られよう。しかし、コンピュータを中学生が操作するようになった現在においては、コンピュータの機能をフルに活用すれば、固定資産税における毎年評価も、決して、夢ではないのではなかろうか。

 

毎年評価の夢 野上敏行(1)
平成8年都道府県地価調査に基づく最近の地価動向(その1) 河野俊嗣(2)
固定資産税に係る課税資産の内訳書の送付の状況について 小野寺則博(6)
固定資産税及び都市計画税の税率採用状況 尾原龍彦(8)
誰のための課税明細書か 関村順治(10)
農業用施設用地に係る地目認定について 森幸則(12)
宅地の指定市における基準宅地に係る路線価 (14)
資料1 (15)
資料2 (16)
事務連絡 (20)

 

 

 

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